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09.灰になってしまいそうだ

 

 

声が陰った 移ろ往く過去を

消して拭いた 灰になってしまう前に

消えた もうどうだっていいんだと

泣いて捨てた 灰色に染まる僕を

 

もうそんなこと言うのなら通りすぎる夢でも見ていなよ

僕の妄想の姿は死んで 投影した影にも目が眩む

聞き慣れた苦痛が身を縛る 真綿で首を締め上げるように

声も掠れ青に融け合っていく

 

最低な日々に押しつぶされてしまいそうだ

最低な僕を浮き彫りにして

廃退の日々で色あせていく声を裂いた

僕の手で 君の目で その腕で

 

枯れていく星の隙間に誰かの言葉を探している

焼き付いて僕の回路に 思考にこびりついて剥がれない

反芻している声の間に呼吸を止めて涙で濡らす

頬を、雨を、空に絡まってゆく

 

低迷の中で飲み込まれてしまいそうだ

最低の君に殺されていく

混迷の夢が滲んで踏みつけられていく

目の前で そのままで 閉じていく

 

声が陰った 移ろ往く過去を

消して拭いた 灰色に染まる僕は

消えた もうどうだっていいんだと

泣いて捨てた 灰になってしまいそうだ

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